ああああああ

何かしらを書くかもしれない

100円ローソン

100円ローソンが潰れた。

こう書くとつい最近の話のようだが、一年かそれ以上か前の話である。セブンイレブンでいつも通り5枚切りの食パンを買う時、ふと思い出した。そこまで頻繁に行っていたわけではないし、潰れてからも特に不便なく暮らしている。100ローなんて略し方もしなかった。ただ、改めて思い返すと思い出せることはあるもので、せっかくなのでこれを気に100円ローソンと私の関係を記録しておこうと思う。

 

同時並行で色々な記憶が溢れてくるので、「一番最初に思い出したもの」みたいなものはない。何からでも良いが、とりあえず店員について書こうと思う(何からでも良いと言いつつも別れの日は最後に書こうとしているところに我ながらあざとさを感じる)。

店長らしきおじさんは基本的にいつもいた。夜遅い時間や朝早い時間にはワンオペでやっていたように思う。労働時間が心配に思った記憶がある。それ以外の店員としては、若い日本人はほとんど入っておらず、若い留学生かシルバー世代の男性がほとんどだった。店長以外の店員はレジを出て棚の方に行っていることが多かった。客がそこまでいなかったからだと思う。通路が狭く見通しも悪かったから、すいませーんとレジから声を掛けることが多かった。

そういえば、店長にバーコード決済をお願いする時の手付きが好きだった。バーコードが表示されるタイミングに合わせてバーコードリーダーをゆっくりと画面に近づけるようにしてバーコードを読み取っていた。1秒ほどのラグがあり、決済完了の音がする。「ありがとうございました〜」愛想が良いわけではないが優しい声を背中に(本当は左側からだが)聞きながら、軽く後ろを振り返り、「ありがとうございました」といってガラスの扉を押して外に出る。その一瞬だけ店長と心が通じたような気が少しだけしていた。

 

店内は結構暗かったと思う。恐らく、蛍光灯の問題というよりは、低い天井と高い棚に挟まれて光が届かなかったからだと思う。それでも、入口すぐの生鮮コーナー(肉や野菜もあり、場違いなほどに充実していた)やパック系の飲み物コーナーなどは棚からの光で明るかった。まっすぐ入り、100円くらいの食パンを手に取り、店長や留学生やシルバーの男性がいたりいなかったりするレジに向かう。PayPayで、と伝えつつ、スマホを操作してバーコードを表示させる。基本的にはそういう使い方だった。時折、朝起きてから食パンを切らしていることに気づいた日などは、食パンの代わりに菓子パンを手に取り、同じ動作を行う。通路が狭く、レジに人が並んでいるか分からないから、勘でルートを決める。人がいそうなら棚と棚の間から、いなさそうなら入口側から。

 

ある日、同期が「100円ローソンなくなるっぽいな」と話しかけてきて、なくなることを知ったのだったと思う。同期はよく1.5Lのノンカロリーコーラを買っていた。ペットボトルの飲み物の棚は入り口から一番奥にあった。そのコーラはコカでもペプシでもないよく分からないメーカーのものだったが、一回飲んだら普通に美味しかった。案の定同期はコーラを買う場所がなくなることを嘆いていたように思う。閉店前に2回くらい100円ローソンに行ったと思う。記憶がほとんどないので、実際は5回かも知れないし、1回かも知れないが、とにかく行った。店の大きさに似合わず大きな棚はほとんどがからっぽになっていて、少しだけ残っている商品には50%だったか、かなりの値引きがされていた。生鮮コーナーも空になっていたが、電池とかそういった日持ちするもの(こういったものも結構置いてあった)はまだそこそこ残っていた。店長がレジをしていて、「なくなっちゃうんですね」みたいに話しかけた気がする。その時店長が何と答えたのか、その時私が何を買ったのかは、例によって覚えていないが、恐らく支払いはPayPayだったし、店を出る時には愛想が良いわけではなく優しい声でありがとうございましたと言われたのだろう。