ああああああ

何かしらを書くかもしれない

周期的に大量発生するセミ、周期ゼミとは

良い文章というのはwikipediaの引用から始まる。これは地球で太陽が西から昇ることや、魚が陸地でしか暮らせないことと同じくらい自明な、太陽系内にあまねく知られている事実である(要出典)。そのため、ここではwikipediaの引用から文章を始めることとする。

 

周期ゼミ(しゅうきゼミ)とは、セミのうち Magicicada 属に属する複数の種の総称。
毎世代正確に17年または13年で成虫になり大量発生するセミである。その間の年にはその地方では全く発生しない。ほぼ毎年どこかでは発生しているものの、全米のどこでも周期ゼミが発生しない年もある。周期年数が素数であることから素数ゼミともいう。
17年周期の17年ゼミが3種、13年周期の13年ゼミが4種いる。なお、17年ゼミと13年ゼミが共に生息する地方はほとんどない。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%91%A8%E6%9C%9F%E3%82%BC%E3%83%9F

 

2016年、アメリカのアイオワでは何十億匹もの17年ゼミが現れたらしい。

https://tenki.jp/suppl/romisan/2016/08/17/14781.html

 

……………は???????何十億?????????は??????????自然界怖すぎ引くわ。 セミ好きな方は2016年の17年後、2033年に北米に行かれることをおすすめする。セミアレルギーになったなどという苦情は一切受け付けません。

さてさて、賢いみなさんの頭にはたくさんのなぜ?が浮かんでいることだろう。生物をする時にはなぜ、を「何のために」(究極要因)、と「どうやって」(近接要因または至近要因)に分けないといけないと本に書いてあったので分けて書く(詳しく知りたい方はティンバーゲンの4つのなぜで検索 )https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%81%AE4%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%81%AA%E3%81%9C 

① 何のために周期的に成虫が大発生するのか
② 13あるいは17年といった長いスパンでの周期的な大発生はどのように得られたのか
③ 何のために素数なのか
④ 何のために「17年ゼミと13年ゼミが共に生息する地方はほとんどない」のか

 

ひとつずついこう。
① 何のために周期的に大発生するのか
これにはいくつかの説があるらしい。
一つ目は、交尾の相手を確実に見つけるため。何年間もかけて土のなかで成長して子孫を残せないというのは確かに繁殖の効率が悪い。
注:セミが幼虫でいる期間は種により異なり、また栄養のあまりない場所や寒い場所では成長も羽化も遅くなるなど、生育環境によっても異なるため、何年とは言えないのだ!

参考:http://zikade.world.coocan.jp/life.html

二つ目は、エスケープ、あるいは希釈効果と呼ばれる理由によるエスケープとは、要するに天敵が食べきれないほど多くの数が同時に出現することで自分が食われる可能性を下げるという戦略だ。この戦術は天敵よりも生活史が長い、つまり世代変化がゆっくりな生物にしか用いることができない。天敵であるクモを考えてほしい。おなかいっぱいにセミを毎年食べられるなら、クモの繁殖の成功率が上昇し、結局何年か後には大量のセミの数に釣り合うところまでクモの数が増える。一方、セミの大量発生が起こる年と起こらない年が大きく離れていた場合、せっかく大量のエサのおかげで増えたクモの子孫はセミの姿を全く見つけることができない。多くのクモが餓死し、結果的にそのクモの子供の数は前年と同じかそれ以下になるだろう。どちらも説得力がある。どちらがより大きな要因なのだろうか。まぁ、両方正しいのだろうが。

② 長いスパンでの周期的な大発生はどのように得られたのか
他のセミと比べて13年、17年という羽化までの期間は長い。進化の過程で徐々に羽化までの期間が延びたのだろう。でも、どうやって?
コ○ン君「そんなの簡単じゃん。自然淘汰でしょ?小学一年生でもわかるよ。」黒ずくめの男「それはどうかな。説明してやろう。」プライドが高いコナ○君「うるせえ眠れ!」麻酔銃パシュ 黒ずくめの男「うっ…………」阿笠博士「わしが代わりに説明しよう。」

まず、そんなに簡単じゃない理由を教えてやろう。確かに個体によって変異が起こり他のセミより一年遅く羽化するセミもいるだろう。そいつが変異のないセミよりもよく子供を作ることができれば羽化までの期間は伸びる。が、上に述べた通り、大量発生には大きなメリットがある。本当に変異体は変異のないセミよりもよく子供を作ることができるか?むしろ子供を残す前に死にやすいのではないか?

さて、セミが地中にいる期間が長くなった理由について一つの説を見つけた。それとは、「地球が氷河期に入り気温が下がり、セミの幼虫の成長速度が遅くなって、結果的に地中にいる時間が伸びた」というもの。

まさかの偶然説。でもこれ以外思いつかない。確かにこれなら同じ年に羽化するセミの数は(ある程度減るにせよ)保たれるから、上で書いたようなメリットは保たれる。研究室でセミをさまざまな温度で飼育すれば検証できるだろう。というか誰かしてるだろう(だろうとか言う前に論文探せ)。

③ 何のために素数なのか

これには有力な説が一つある。が、下を読む前に少し考えてみてほしい。素数の持つ性質を考えれば思いつくかもしれない。思いついた人にに金一封とかはありませんが褒めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思いつきましたか?考えることをサボっちゃだめですよ?読んでからはもう読んでない状態には戻れませんからね?

 

それでは現在有力な説を発表しよう。

それは、「交雑によって周期が変わる確率を下げるため」である(吉村、1997)。

以下吉村仁さんの話

 「氷河期以前は毎年のようにセミは羽化していました。しかし氷河期に入ると幼虫が育ちにくくなり、セミの数も減ってしまった。そこで種間で羽化の時期を同期することで成虫になった時にお互いに合うことのできる進化をしました。そしていろいろな周期で羽化するセミが出現しました。もし複数の種のセミが同時に羽化したならば、違う種間での雑交が起きてしまいます。すると雑交では種を残せないばかりか、同期の時期にもずれが生じてしまい、結果絶滅してしまいました。13や17といった数は他の数字と比べても大きいし、公倍数も少ないのでそういったことから回避できたのでしょう。」

https://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/periodical_cicadas

最小公倍数が大きければ大きいほど異なる種との交雑の頻度は減少する。そのため1と自身以外に約数を持たない素数という数にになったのではないか、ということだ。

一方、別の説を東京のどこかの科学博物館で見た気がする。それは、周期的に発生する天敵と鉢合わせないようにするため、である。例えば一世代が3年の寄生バチがいたとする。セミの発生周期が15年だとすると、セミが出るたび、15年に一度大量の寄生バチにやられる。しかし、セミの大量発生周期が13年だと、寄生バチにやられる周期は39年に一度と、15年と比べると頻度が半分以下になる。こういう理由で素数になった可能性もあるだろう。

ところで調べていくと、最新の(そして驚きの)研究結果があった。13年ゼミと17年ゼミの交雑の遺伝子的証拠が見つかったのだ。そして、その交雑による子の多くは驚くことに13年か17年で羽化するのだという(2018)。この結果から違う周期のセミ同士が交雑したら周期がずれるから素数、という説はもしかするとひっくり返されるかもしれない。なぜこんなにも周期が安定しているのか、がこれから研究されることだろう。

https://www.google.com/amp/s/www.asahi.com/amp/articles/ASL4N51TRL4NULBJ00Z.html

④ 何のために「17年ゼミと13年ゼミが共に生息する地方はほとんどない」のか

調べても出てこなかったが、大量発生のメリットを得るためには同地域の個体が同時に周期を伸ばす必要があったのだろう。そして13と17の差は気温の高低なのだろう。

 

どうだっただろうか。少しは周期ゼミ、あるいはセミに興味を持っていただけただろうか。夏に誰かと一緒にセミの声を聞いた時にうるさいな以外の感想が浮かぶようになったり、こんな話をしようと思えるようになったりしてくれたらそれほど嬉しいことはない。

それじゃ、これから私は17年間休むのでまた2035年にでも会いましょう。みんみん。